「楽園の瑕」の心に残る言葉と映像

「楽園の瑕」ウォン・カーウァイ監督 1994年 香港 (原題:東邪西毒)

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個人的にはウォン・カーウァイ作品の中で、一番好きな映画です。

世界的な人気のある金庸の部侠小説の設定をもとにしたストーリーで、
カーウァイ独特のセリフまわしやナレーション、カメラワーク、そして美しい
映像世界が高い次元で融合された作品です。

その中でも心に残ったセリフをストーリーを追いながら紹介していきます。

「楽園の瑕」の名言集

仏典曰く 旗なびかず 風なし 揺らぐは人の心なり

冒頭に映される一節で、この映画を象徴するもの。人間離れした達人たちの、人間らしい心の揺らぎが映画の見所のひとつでもある。

「悩みの源は思い出にある。それを忘れられれば、新鮮な毎日が始められるのだ。そうだろ?君のために持ってきたんだ。よかったら、一緒に飲もう」

砂漠で殺しの仲介業のようなことをしている西毒(歐陽鋒)のもとに、毎年同じ時期に東邪(黄薬師)が訪ねてくる。
ある時、黄はある女からもらったという過去を忘れられる酒を持参し、歐にもすすめる。だが歐は飲まず、ひとり酒を飲んだ黄はその晩から多くのことを忘れはじめる。

「人は失敗すると、その言い訳をみつけるものさ。燕と媛は実は一人で、二つの人格が現れるのだ。心の傷が二つの人格を作ったのだ。」

「長い夜だった。二人と話しているようで、結局、燕か媛か見分けられなかった。」

黄は若いころ放蕩者で、人を夢中にさせては裏切っていた。歐のもとにあらわれた兄妹は実は一人の女で、黄に捨てられた心の傷が二つの人格を生んでいた。

「早く馬賊が来るといい。桃の花が枯れてしまう。」

歐のもとに、病のため失明しかけている剣士が訪ねてくる。彼は完全に見えなくなる前に故郷の桃の花が見たいと言い、旅費の工面のため馬賊討伐の仕事を引き受ける。多勢の馬賊相手に善戦するものの…。

「女をだますのは容易ではない。単純な女ほど一途だ。」

歐のもとに身を寄せている剣士、洪七に故郷から妻が訪ねてくる。追い返そうとする洪七だが、女は帰ろうとせず、外で待ち続ける。

「自分の信念を貫くことは、他人には時間の浪費に映るが、本人は命がけだ。」

ラバ1頭と卵という報酬で、弟の仇を討ってほしいと懇願し続ける少女。歐は相手にしないが、純粋な洪七は引き受ける。

「この砂漠の向こうは?」
「別の砂漠さ。」
人はみな同じことを考える。山を見ればその向こうが気になる。だから言ってやる。
何も無いのだと。ここも住めば都なのだと。

闘いで指を1本失った洪七は、名を挙げるために妻を連れて歐のもとを旅立つ。

久しぶりに桃の花が見たくなり、盲目の剣士の故郷へ向かった。だがどこにも桃の花はなかった。
帰り際にやっと気付いた。
ここには桃の花などなく、”桃花”は女の名だった。

盲目の剣士の言っていた故郷の桃の花とは、彼の妻の名だった。彼は妻と親友である黄薬師との仲を疑い、一人流浪していたのだった。

彼女に愛していると言えなかった。得がたいものほど価値があるからだ。
息子を見つめる時、彼女はある男を思っている。歐が妬ましい。
私は人に愛されたいと思い、どれだけ傷つけたことか。

愛にも勝負があるとしたら、彼女は勝者なのかも。だが私は最初から敗者なのだ。

桃の花が好きになった。花の咲く時期に彼女と会えるからだ。

歐の故郷である白駝山を、黄は毎年訪れていた。歐のかつての恋人で、今は歐の兄嫁となってしまった女に会うためだった。黄は、歐の近況を知らせるという口実で、毎年春になると彼女のもとへ訪れていたのだった。

まもなく彼女は他界した。死ぬ前に歐に酒を渡してくれと頼まれた。
忘れてほしかったのだ。

記憶は悩みの源だと言われる。
その年から私は多くのことを忘れ去った。
覚えているのは桃の花のことぐらいだった。

ここでストーリーは冒頭に繋がる。黄の持参した酒は、実は歐の兄嫁から預かったものだった。

立春後、虫が目覚める時期、毎年俺を訪ねてくる友がいる。
今年は来なかった。

丸二日、戸口に座り空の変化を眺めた。ふと気付いた。長年住んでいたが、砂漠を眺めたことはなかった。

女に会う口実のために毎年歐のもとに訪れていた黄は、彼女の他界のため訪ねてこなくなった。まもなく歐のもとに、故郷から手紙が届く。兄嫁が病で亡くなったと…。

この酒は彼女の冗談だったらしい。
何かを忘れようとすればするほど、心に残るものだ。

歐は残っていたあの酒を飲む。そしていつも通りに仕事を続ける。記憶を消すはずの酒の効果はあらわれなかった。

ある人曰く、何かを捨てなければいけない時は、心に刻みつけよと。

たしかスナフキンのセリフだったような・・・。

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