黒澤明監督 映画「用心棒」名セリフ集
映画「用心棒」は1961年(昭和36年)に公開された時代劇映画で、世界各国の映画監督からリスペクトを受けている黒澤明監督の代表作の一つ。
二人の親分が熾烈な抗争を繰り広げている宿場町を舞台とし、そこにふらりと現れた桑畑三十郎と名乗る浪人(三船敏郎)の活躍を描く。
アクション映画としてはよくある設定だが、時代劇の見せ場であるチャンバラ(殺陣)シーンはそれほど多くなく、主人公の機転や人物描写に重点を置いた内容になっています。
実際、三船敏郎演じる主人公は時代劇の主役のステレオタイプである正義漢的な人物ではなく、よく言えば機転が利く、悪く言えば悪知恵が働き、平気で人を騙すしたたかな人物として描かれています。
単純な勧善懲悪モノではなく、巧みな人物描写とストーリーが魅力の映画「用心棒」から名セリフを紹介していきます。
映画「用心棒」名セリフ集
百姓の子倅
水粥すすって長生きしたって始まんねえ
うまいもの食ってよ いい着物きてよ
太く短く暮らすんだ俺は
任侠に憧れて、抗争に参加するために家を飛び出そうとする息子を止める親爺。そこに主人公が出くわす場面からストーリーが始まる。
百姓の親爺
血の匂いをかいで腹の減った野良犬が集まってきやがる。
用心棒の働き口目当てに抗争の起こっている宿場町に近づこうとする主人公を皮肉った一言。
居酒屋の権爺
近頃この町で景気がいいのはこいつばっかりだ
棺桶が飛ぶように売れるのさ
隣の桶屋から響く棺桶作りの音に腹を立てる権爺。
桑畑三十郎
まあ聞け、親爺 今この町では人を斬れば金になる
しかもこの町には叩っ斬ったほうがいいような奴しかいねえ
権爺から町の荒廃した状況を一通り聞いた三十郎は、この町が気に入ったと言い、居座ることを決める。
桑畑三十郎
まったくかわいい面してるな、てめえたちは
虫も殺せねえような面して凄んでるところは
なんともかわいいってんだ
往来で丑寅一家の強面の子分たち相手を挑発して三人を斬る。その卓越した剣技を宿場町中に披露することで、自らの用心棒代を両方の勢力に売り込もうとする三十郎。
清兵衛の女房 おりん
一人斬ろうが百人斬ろうが、縛り首になるのは一遍だけだよ
丑寅一家と対立する、馬目一家の女将を山田五十鈴が好演しています。
三十郎
博奕打ちの仲直りぐれえ物騒なものねえんだぞ
丑寅一家と馬目一家が一時的な手打ちになりそうな流れを危惧する三十郎。
三十郎
子どもは刃物持つんじゃねえ お袋のとこへ帰れ
水粥すすっても長生きした方がよかねえか
丑寅一家を相手にした最後の斬り合いで、ストーリー冒頭に出会った百姓の倅に出会い情けをかける。
三十郎
こいつ、どこまでも向こう見ずな本性を崩さずに死んでいきやがった。
好敵手でもあった新田の卯之助をリスペクトする一言。
三十郎
よし、これでこの宿場も静かになるぜ
おやじ、あばよ
ラストの一言はハードボイルド風に決める三十郎。