「美の国は道徳の世界より広大である。」

「Young Yakuza(ヤングヤクザ)」 2008年 フランス  ジャン=ピエール・リモザン監督

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フランス人監督が日本の現役の指定暴力団の日常風景を半ドキュメンタリータッチで撮影した映画。タイトル通りヤクザを題材としているが、ドスや拳銃で切り込むような血なまぐさい任侠映画ではない。熱い人情や仁義が描かれているわけでもない。

「裏の世界は撮らない」という約束で撮影されたためか、表面的には一般の社会とさほど遜色のないような事務所内や周囲の街での日常風景が淡々としたタッチで映される。血の匂いも怒声も、白刃の煌めきも無く、あるのは新人の指導の様子や事務所の大掃除、忘年会など。組長が語る言葉も一般企業におけるマネジメント論に近い。

ラストシーン。組を抜けた主人公(?)の青年に、ラッパーの友人が語った言葉。

「美の国は道徳の世界より広大である。こう言ってやればわかるヤツにはわかるから。」

作中ではこの言葉に対する解説はされていない。

美  = 自分自身の価値観
道徳 = 常識的、社会的な価値観
と捉えるとわかり易いかもしれない。

社会通念上のさまざまな善悪の価値に縛られた世界は窮屈で息苦しい。自分自身にとって本当に美しさや喜びは、それら世間の常識的な価値観とは切り離されたところに存在する。

ヤクザという人種は、もしかしたら美意識の塊なのかもしれない。

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