読み継がれるベストセラー絵本の魅力~子どもや親を惹きつける理由とは?
幼いころ何度も繰り返し読んでもらった絵本。大人になった今も記憶の片隅に残っていて、ふと思い出して懐かしくなることも。そして自分に子どもが生まれても、また同じ絵本を読み聞かせる。
そうやって長く読み継がれるベストセラーの絵本たちの魅力はどこにあるのでしょうか?
世代を超えた“定番の絵本たち”の魅力に迫りたいと思います。
おおきなかぶ
おおきなかぶ [ アレクセイ・ニコラエヴィッチ・トルストイ ] |
1962年に刊行されて現在まで50年以上読み継がれている絵本です。
もとはロシアの民話をもとにしたストーリーで、大きなかぶをおじいさんが抜こうとしますが抜けず、おばあさんがおじいさんを引っ張り、それでも抜けずに次は孫が、その次に犬がという風にみんなで力を合わせてなんとか抜けるというもの。
「うんとこしょ、どっこいしょ」というテンポが快い掛け声が印象に残っています。
列車のように連なってかぶを引っ張るユーモラスな描写と、家族で力を合わせて何かをするという「協調」や「協働」という概念をこどもにも分かりやすいように教えることができる点がこの絵本の魅力だと思います。
三びきのやぎのがらがらどん
三びきのやぎのがらがらどん [ マーシャ・ブラウン ] |
これも昔から広く読まれている定番絵本で、ノルウェー民話をもとにしたストーリーだそうです。
この絵本の魅力は、ハリウッド映画のようなワクワク感のあるストーリー展開にあると思います。
三匹のやぎが山の草場へ向かう途中の谷川に橋がかかっており、橋の下には大きな怪物のトロルが住んでいます。ちびやぎと二ばんめやぎは機転を利かせて無事に橋を渡り終え、最後に大きいやぎのがらがらどんがトロルを退治してしまいます。
「おまえを一飲みにしてやろう」という不気味で恐ろしい怪物を、最後に現れた力強くてかっこいい味方がやっつけるという展開に子どものボルテージは上がります。
「こっちにゃ二本のやりがある。これで目玉は田楽刺し。おまけに石も二つある。骨も肉もこなごなに踏み砕くぞ。」というトロルも真っ青の残酷チックな決め台詞も印象的です。
スリリングで勧善懲悪的な王道ストーリーが愛され続ける理由ではないでしょうか。
はらぺこあおむし
![]() はらぺこあおむし [ エリック・カール ] |
はらぺこあおむしはもともとアメリカ生まれの絵本で、現在では世界中で愛され続けています。
当時は珍しかったであろう仕掛け絵本で、ページにあおむしが食べた跡の穴が開いているのが特徴です。
シンプルなストーリーですが、その中にダイナミックなドラマが詰まっています。
たまごからポンと生まれたあおむしが、いろんな食べ物を食べて蝶になるというストーリー。
横長のページいっぱいに描かれたカラフルで迫力ある絵と、成長という生き物の普遍的な過程を経て、最後にさなぎから綺麗な蝶に変身するというドラマチックな展開が人気の理由でしょうか。
おしいれのぼうけん
おしいれのぼうけん [ 古田足日 ] |
1974年に出版された絵本で、上記の三つと違い日本人作家による作品です。
実は私の中では一番印象に残っている絵本です。(半分トラウマかも)
舞台は幼稚園で、ケンカをした二人の園児が反省のために押し入れの中に入れられます。そして押し入れの奥の暗闇の中からねずみばあさんが現れ、二人は押し入れの奥の世界を冒険するというもの。
昔から懲罰に使われていたように、暗い押入れの中というのは小さい子供にとっては恐怖です。しかしその反面、非常に想像力をかきたてられる未知の空間でもあります。
映画「ナルニア国物語」でも、異世界につながる入口が押し入れだったような。
ちょっと怖いストーリーと想像力を掻き立てるホラーファンタジー仕立ての名作です。
これらのベストセラー絵本の他にも、印象に残っている絵本はひとそれぞれだと思います。
子供を惹きつけ続け、長く記憶に残る絵本の世界。
昔の記憶を思い出しながら読んでみたくなりますね。