マネーの虎神回「ブライダルプロデューサー育成スクール」

2001年から2004年まで放送されたテレビ番組「マネーの虎」。
今回紹介するのは、ブライダルプロデューサー(婚礼司会業)を育成するスクールの広告資金を希望した32歳の男性の回です。

ノーマネーでフィニッシュしてしまった回ですが、志願者の個性的な語りと、虎たちとの掛け合いがツボだったので紹介させていただきます。やり取りの中に密かに名言が隠れているところも見所です。

虎たちと最後まで嚙み合わない司会者風プレゼン

マネーの虎2

ブライダルの企画プロデューサーをしているという志願者。服装も婚礼司会者そのものといった出で立ち。
プロデューサーを育成していくスクールの広告費として888万円を必要としているとのこと。

虎

堀之内九一郎
「スクールというからには学校なんだろうけれど、どんなスクールなんですか?」

志願者
「私の学校では、ほかのスクールとは少し違った授業をしています。
私の仕事は主に披露宴の司会を通じて、披露宴のプロデュースをしていくんですけども、新郎新婦を祝福する以上、どうしても司会者はまずは自分自身を好きでなければなりません。ですから自分を好きになる勉強自分をまず大好きになる勉強
その次に披露宴の基礎的な技術、ブライダル業界のルールなど、通常のブライダルのスクールが教えている内容に変わっていきます。」

志願者の語りはまるで結婚式の司会のように、スローで神妙な口調。

無題tora

男の独特な口調と雰囲気に、この時点ですでに口ポカーンの虎の姿も。

吉川幸枝
「婚礼の司会者はもうプロが有り余る状態ですよね。それでもまだそんなことやるんですか。結婚する人が減っているんですよ。」

志願者
「まだまだブライダル業界は広がります。」

吉川の批判に対しても、強い自信をみせる志願者。
「私の持っている技術、ノウハウはブライダル業界の底上げになると感じています。最近、地味婚という言葉が流行ったり、披露宴は退屈というイメージを持たれています。もし私の技術を通じて、楽しい披露宴、いい披露宴、新郎新婦の魅力が伝わるような披露宴をご覧になって、全国から・・・。」

堀之内九一郎
「一言で、ほかの司会業とここが違う!というところは何?」
綺麗に飾られた志願者の言葉に痺れを切らして、堀之内が話を遮る。投資家として、事業の強みを率直に問う堀之内。

志願者
「一番大きな違いは、新郎新婦の未来を発展させる自信があります。」
ここで志願者は最近の披露宴でのエピソードを紹介する。

「最近の披露宴でいうならば、ある新郎がいらっしゃいました。その新郎は、出世していきたいと、出世欲がありバイタリティがある新郎でした。」
新郎の会社の重役が来賓として出席・スピーチするにあたり、新郎自らが尊敬の言葉を添えて来賓の紹介をしたエピソードを、身振りによる再現も交えて長々と説明する。

志願者
「・・・というのが大きな特徴です。」

吉川幸枝
「それ特徴じゃありません。」
長々と続いて結局あまり中身の無かった説明に、辛抱強く聞いていた虎たちが腹立たしげに口をひらく。

市東剛
「そんなのどこでもやってる。」

ブライダル事業も手がける「歩く百億円」吉川幸枝が男の話を否定する。
「私は婚礼式場も持っていて、あなた達みたい司会者を何組か抱えている。私19年前からレストランウェディングの走りなんです。」
吉川は男の司会の手法には正直あまり新しさを感じないし、そもそも婚礼件数は減少してきており、婚礼業界はもう下り坂だという。

志願者
「吉川様のお言葉、ありがとうございました。」
と、あくまでも結婚式風の受け答えにこだわる志願者。

「しかし私の周りでは婚礼は少なくなっているようには感じません。」
ここで自らの実績をアピールする志願者。志願者の名前をインターネットで検索すれば、その名前や評判がたくさんヒットし、そのどれも悪い評価のものはない。
そして志願者は年間100組もの婚礼司会を行っており、会社全体では年間700組に及ぶと豪語する。
その売り上げ合計は約6000万円になるという。

その実績に虎たちも感心の声をあげる。
しかしそれだけの売り上げがあってなぜ888万円の融資を希望するのか、それはあなたの貯金の何%くらいか、と吉川が問う。

志願者
「自分の貯金は現在900万ありますが、融資を希望した理由は、腹を割って話しますと、婚礼司会の前は、お葬式の司会をしていました。学んだこと数多くあります。今の私はいろんなことに自信があったりして、明日の自分が健康で頑張っていく自信もあります。」

そして融資を受ける正当性を主張する志願者。
「今日を生きていくという中で、もしかしたら明日の自分がどうなっているかわからない。私には頼ってきている社員もいれば、お客様もいる。900万はもしもの時の自分のために取っておかなければならない。」

堀之内九一郎
「それは世の中には通用しない。」
男の主張をバッサリと切り捨てる堀之内。そして自らがホームレスの状況から起業した経験を語る。
「私なんかゼロよりも、マイナスからのスタート。生命保険を全部解約し、社会保険も国民(健康)保険も全然なし。死んだら一円の保証もない、病気をしても病院にもいけない。万が一のためにお金を横に置いといて融資を受けるというのは、私どもの感覚から行くと、まったく常識外。」

志願者
「おっしゃる通りです。自分にとって今が大事。過去でもなく未来でもなく、今をどう生きるか。そういう感じ方をしました。」
ここでも司会者節が炸裂。相手の言葉を綺麗な言葉で仕立て直すという、プレゼンの場には向かない司会者技術を披露する。これに対し、男が本音を語っていないと感じた虎たちが痺れを切らす。

堀之内九一郎
「ずっとさっきから話聞いているが、結論が出ない。」
吉川幸枝
「司会の言葉に酔いしれてる。」

この批判を受けても、志願者は懲りずに自らのエピソードを語りだす。

志願者
「私は19歳のころ、家出をして渡米をしました。その頃は両親に対する感謝の気持ちも欠けていたかもしれません。傲慢な思いもありました。五年間、お金も住むところも無かった中で、多くの人から助けられました。多くの人から愛情をもらって・・・」

ここでついに虎の一人がキレる。

市東剛
「話が長すぎて中身がない。意味がわからない。」

志願者と虎たちが噛み合わず、場の空気が悪くなりつつあるのを感じ取った吉田栄作が、ここでサポートする。

吉田栄作
「僕が受けた印象も、職業柄なのか周りをきれいな言葉で固められてはいるんだけど、骨の部分が聞けないというのが、皆さんがじれているところだと思うんですよ。」

高橋がなり
職業病なんですよ。」
状況を静かに見守っていた高橋がなりが口を開く。
「毎日が一日しか付き合わない方々と付き合っているから、うわべの綺麗ツラで付き合えるんですよ。僕らは投資するってことは長い付き合いしたいと思って、皆さんが一生懸命問いかけるんだけど、無難な言葉ばっかりなので、どんな人かわかんない。一日だけの式なら、しんみりして下さいってお願いするかもしれないけど、長い付き合いはしたくない。」

ここでようやく虎たちの意向を汲み取ったのか、志願者が若干熱を込めて反論に出る。

志願者
「一日だけのお付き合いと言われましたが、お客様とは今現在も長くお付き合いしています。」

マネーの虎

「このヘアスタイル。お客様のところでカットしてもらっています。歯医者に行くときも新郎新婦、スーツを買いに行くときも、旅行会社もすべて新郎新婦。私の関係はほぼ全て新郎新婦です。私がお葬式から披露宴の司会を始めるときに感じたことは披露宴ってなんて素晴らしいんだろう、人とこんなにも深く付き合えるのか、こんなにも深い絆を持てるのか、ということでしたから。」

「また900万円に関しても、それを横にとっておいて私腹を肥やそうというわけではなく、借りる以上は、返すあてがあってこそ・・・。」

堀之内九一郎
「じゃあその900万担保にくれる?」
堀之内の意図不明な質問をかわすためか、またお得意のエピソードを挟もうとする。

志願者
「また過去の話になるんですけども、一年半の予定だった渡米の地が五年弱に伸びた理由があります。それはアメリカの地である社長さんから助けられました。私は当時レストランで花を売っていたんですけども・・・」

高橋がなり
「さっきから聞いてると、一杯のかけそば聞いてるみたいなんですよ。普段から本音で生きてるもので、そういう話、僕個人が嫌いなんですよ。」
また長くなりそうな志願者の話を高橋が遮る。

加藤和也
「答えがなんにも出ない。」

志願者と虎たちが最後まで噛み合わない中、志願者が最後のアピールに出る。
「結論はあくまでもブライダル業界の底上げです。」
ブライダルに関わる人は、まだまだ全力投球しておらず、自分の技術やノウハウは業界の底上げに貢献できると力説する。
「できないと言われてしまえば、それもしかたありません。しかし目標は絶対クリアします。決して負けない。
熱い目線で最後のアピール。

吉川幸枝
「最後におっしゃった力強い気持ちはよくわかるんだけども」
奥歯にものを挟んだような言い方で本音が見えにくい。見えないところに闇雲にお金を投資することはできないという吉川。

高橋がなり
涙の池に飛び込もうとする人を、ポンと背中押すのはすごい上手いと思うんです。」
しかしその池に飛び込みたくない人を飛び込ませることはできない。経営者は客観的にものを見る必要があり、そういう人にとっては、志願者の話は何にも響いてこないと、核心を突く高橋。

そしてとうとうノーマネーでフィニッシュ

縁起の悪い言葉を避け、綺麗な言葉を並べたり、エピソードを交えて語るというのは結婚式プロデュースの常套手段です。
プレゼンの場でもそれを応用しようとしたのか、それとも職業病なのか、シビアなビジネスの世界で生き、本質を見抜こうとする虎たちからは「回りくどい」「胡散臭い」としか思われなかったようです。

普通にしゃべればマネー成立したんじゃないかと・・・。職業病って怖いですね。

懲りずになんとかエピソードを挟んだり結婚式風のプレゼンをする志願者と、だんだんイラついてくる虎たちの掛け合いが見所です。

ここではマネー成立こそなりませんでしたが、この志願者のスキルは本物だったようで、その後ブライダル業界で成功を収めているそうです。

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