「マリファナX」から見えるニューエイジの歴史と意識

自分自身の人格形成に大きな影響を与えたと言える本は何冊あるだろうか。
人によってはたくさん列挙できる人もいるだろうし、1冊も無い人もいるかもしれない。
僕にとって、現在に至るまで自身の骨肉を形成したといえる本の一つがこの「マリファナX」である。

この本を手に取ったのは20歳頃のことだっただろうか。

最初に断っておくと、僕はマリファナ擁護派でも反対派でもない。昔はマリファナ解禁運動に参加しようと本気で考えていた時期も無いではなかったけれども、ドラッグは一定の規制はされてしかるべきだと今は思っている。

この本に書かれているのは、マリファナやLSD、ペヨーテ(幻覚サボテン)、マジックマッシュールーム、果てはガマの油まで。俗にサイケデリックと呼ばれる、幻覚作用を起こすドラッグの経験談やその多角的な詳細と現状。

そして60年代にアメリカを発祥として巻き起こったニューエイジムーブメントの日本における中心人物たちの回想やインタビューである。
サイケデリック全盛期を生き残った猛者たちが執筆しているだけあって、ほぼドラッグに対して肯定的な視点から書かれている内容で、人によっては嫌悪感を抱くかもしれないが、ここで大切なのはそれらのドラッグの是非ではない。

ニューエイジの波に乗って強力な幻覚剤を乱用しながら精神世界の深層まで辿りついた生き証人たちの言には、現代人にとってのヒントが多く隠されている。
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ロックシンガー南正人氏「意識がありとあらゆる魔法にかかっているわけだ。」

南氏がいう「魔法」とは、常識であり社会通念のことである。この社会全体にかけられている魔法は非常に強力に人間の意識を縛り、世の中を縛っている。個人個人がもう一度その「当たり前」のことを洗いなおす作業が必要であると述べる。

 「それで、シラフでやっててもなかなか白けちゃってね。心細くなったりもする。それほど圧倒的なんだから世の中は。そういう時ドラッグがある。自分でも手の届かないところへ、ドラッグをやるとキックして上げてくれる。こうとしか思えなかったものが、ドラッグをやるとキックがあったおかげで、こうも見える、こうも見える、こうも見えるって全体が見えるようになってくる。最期は固形だと思っていたものが、固いものじゃない、最期はこれも波なんだって。」

しかし固い物質が波に見える境地にまで達することができたらすごい。

山田竜宝氏「LSDもマリファナも毎日が修行ですよ。」

山田氏は曹洞宗の僧侶として、30歳の時にアメリカ西海岸の禅ブームの拠点として著名なサンフランシスコ禅センターに派遣されたそうですが、そこでドラッグに出会い、僧からヒッピーに大変身。様々なドラッグ体験によって、仏教の教えに確信を抱くことに。

ここで語られているエピソードはぶっ飛んでいて面白い。
なかでもエンジェルダストという強力な幻覚剤を摂取し、精神病院に入れられたエピソードは興味深く、ヒマラヤの仙人と交信したり、黒人の車を追いかけたり、自身に横綱である輪島のスピリットを降ろして地震を止めたり。
そしてチベット密教のラマに貰った、祈りを物質化した七つの粒のうち五つを飲んで、正常な世界に戻ってきたという凄まじい内容。

読書は世界を広げてくれるよく言われるが、知識だけではなく、根本的な物の見方そして意識そのものを押し広げてくれる可能性を秘めた本は少ない。

そういった意味でこの「マリファナX」は、意識の幅を広げるドラッグ体験にも似た効果を秘めている。

そして60年代からの日本におけるニューエイジの動向や雰囲気を当事者たちの言葉から伺うことができるという意味でも貴重な資料でもある。

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